――竜王である、クーが。
クーが、リーハとダブって見えてしまうのだ。
エリナを不幸にした元凶の、竜王リーハに。
リーハはエリスティナの恐怖の根源だった。
だから今、エリナは震えることをやめられないでいる。
劣等個体だったクリスはどうなったんだろう。エリナは、クリスに会いたかった。
クリスなら、エリナが愛せる相手である、クリスなら、きっとエリナを抱きしめて、大丈夫だよって笑ってくれる。
でもここにクリスはいない。
いないからしかたなくて、いないから頼れる相手もいなくて――クリスが。
クリスがいないから、ずっとさみしいのが抜けないし、目の前の相手にクーなんて愛称をつけて呼んでします。そのせいで、エリナはこの男を突き放せないでいるというのに。



