竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~


 エリナは、クーにひどいことを言っている自覚があった。
 だって、エリナがかつて人間貴族だったのはクーのせいじゃない。

 人間貴族だったエリスティナが悲惨な最期を遂げたのも、エリスティナが不幸だったのも、クーのせいじゃない。
 人間貴族が生まれたのも、クーのせいでありはしなかった。

 それなのに、今、エリナはクーに八つ当たりをしている。
 番の魂は普通の人間の魂とは違う。竜種に選ばれた魂は、何度でもめぐって竜種の元へ戻ってくるのだ。そういう、世の摂理があった。

 そんな話まで持ち出してクーを責めるなんてお門違いだ。そんなことわかっているのに、目の前の竜種が、クーが……竜王の色彩を持つ竜種が――いいや、もういい、もうわかっている。本当は、もうわかっている。

「もうしわけありません。口が過ぎました。竜王陛下」