目を覚ましたとき、最初に目に映ったのは、花の描かれた美しく白い天蓋の内側。
 起き抜けでぼんやりした頭でも驚いて、はっと周囲を見渡せば、そこはエリナの横たわっている大きな大きな天蓋付きのベッドを中心にした、白い家具で埋め尽くされた空間だった。

 調度品のどれもこれもがエリナの給料や貯金なんかをひと吹きで消し飛ばしてしまえるほどの価値を持っている。

 かつて人間貴族だったエリスティナのたしかな目は、椅子、ソファ、テーブル、そしてエリナを寝かせているこの絹でできたベッドシーツでさえも、最高級品のそのまた上の品質であることを見抜いていた。

 混乱するエリナは、ふるふると頭を振って起き上がった。

 その際に手をついたベッドのマットレスが異様に柔らかくて、心地よさよりも恐怖を感じる。前世でも今世でも、勉強のために見たことはあれど、これだけの価値のものの中で過ごした経験はない。