竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~



「あ、あ――」
「エリー?……っ。入りますよ」

 ノックの音がする。
 エリナからの応えがないことを確認してか、焦ったようにドアノブが回った。
 エリナはそれを、世界がゆっくり動くような感覚で見ていた。

「ひ――…」
「……エリー?」

 部屋に入って来たはちみつ色の髪をした青年――それは、クーだった。
 クーはその緑の、アーモンドの形をした目で部屋を見渡すと、部屋の隅、ベッドの陰に座り込んでいるエリナを見つけて驚いたように目を見開いた。

「エリー?どうしてそんなところに?」

 クーは、部屋の、片付いて殺風景な様子に驚かなかった。
 まるで、それが当然であるかのような顔をして、エリナのほうへと歩を進めた。