昨日の決心はどこへやら、予想外に早く来たジルさんに、心の準備が出来ていなかった私は挙動不審になってしまう。

「……む。やはり迷惑だっただろうか」

「いえいえ! ホントに! 大丈夫ですから! どうぞ中に入ってください!」

 よく考えたら時間を決めていなかったのだから、ジルさんが悪い訳ではない。ただ私のメンタルがヤバいだけなのだ。

(うわー! そう言えばジルさんの私服姿初めて見た……!)

 いつもお店に来る時は仕事帰りだからか騎士服姿だったけれど、今日はお休みだから当然ジルさんは私服なわけで。

 シンプルな白いシャツとグレーのジレに、ダークトーンのトラウザーズ。そして手には同じくダークトーンのロングコートを持っている。

(これは……! もう遺伝子からして別の生き物でしょ!)

 私服姿のジルさんは人外的に格好良かった。10人いたら100人振返るレベルだ。