ルーカスの真剣な問いに、レイラは首を振った。熱量の高い手紙をもらった経験は多々あり、この手紙もその一つであるだけだ。今までのレイラに危機感はなかった。
ルーカスが、君が誰かに殺される、と言い出すまでは。
「レイラ、手を」
ルーカスは立ちっぱなしだったレイラの前に跪いて手を請うた。レイラは貴族の作法に従い、滑らかに手を差し出す。
何の迷いもなく差し出されたレイラの美しい指先に額につけてルーカスは心から謝罪した。目の前のレイラと、今まで救えなかったレイラに向けて。
「気がつかなくて、すまなかった」
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