レイラは申し訳なくてルーカスに合わせる顔がなかった。ルーカスを拒否し、ドアを背にしてずるずると座り込んだレイラには、事の顛末が全て見えてしまったからだ。



ルーカスが時間を繰り返している理由、

そしてレイラが死ぬ理由もだ。


(ルーカス様が何度も時を繰り返したのは、私が魔術をかけたせいだったのね)


レイラは図書館から持ってきた魔術の本を開いて眺めた。もう何度も、読んでしまった。


「監禁魔術」と名付けられたその方法は、己の命と引き換えに魔術をかけた相手を「時間」に閉じ込める恐ろしい内容だった。



本の文字を指でなぞって、レイラは泣き続けた。

ルーカスが過去2度出会ったレイラたちはきっと愚かしくも、この魔術を実践してしまったのだ。



(この魔術が本当に効果があるだなんてわからなかったはず。でもどうせ死ぬなら、ルーカス様にまた会いたいって思ってしまった……)