(え?!ルーカス様のお声が!どうされたの?!)
レイラの瞳孔がパッと開いたのをルーカスは見つけた。驚いてるのはさすがによくわかったが、問題はそんなことではない。
「ちょ!ルーカス様その声なんですか?!」
すかさずアイザックが指摘すると、ルーカスは口をへの字にして喉を擦った。
レイラと噴水に落ちた日からずっと違和感があった喉は、日に日に痛みを増して、ついに本日ガラガラ声に進化していた。つまり長い間拗らせた風邪だ。
(マジかよ、今日かよ?!どこまでポンコツだよこの第二王子……!)
王太子帰還パーティが今から始まる。
口がないレイラのサポートをすべきルーカスの声が死んだ。アイザックも真っ青のポンコツ具合である。



