押してだめなら灰になる!!


「可愛いですね,それ。朱鳥にとっても似合います」



夏にぴったりの,つるつるな極薄パジャマ。

それだけじゃない。

ただでさえピンクで人にみられたくないのに,フードとしてうさぎみみがぶら下がっている。



「絶対,嫌!!!!」



すぐ調子乗る!!!!!

私はぱっと羽を開いて,後ろにふわりと着地した。



「おやすみなさい,朱鳥。今度デートに誘ってもいいですか?」



そのまま背を向けた私の背中に声が届く。



「……おやすみ!! いいよ!!!」



連絡,待ってたんだから。

そう叫び,学園の生徒も目で捉えられなかったスピードで飛び去る。



『背中まで向けられたのって……この前だけじゃないんですよ』



うるさいなぁ。



『あの時も……今みたいな顔で,恥ずかしがってくれていたんですか?』



そうだよ。

私,血夜くんのこと。

意識しないとか,無理なんだよ。

だって,どんなに変で意地悪だと思っても。

血夜くんのこと,好きだもん。

ばさ,ばさと。

速度が落ちる。

恥ずかしくて,私はまたビュンと家へ向かって飛んだ。

ヴァンパイアの夜は,真っ暗で。

だけどこんなにも,きらきらと明るい。



                  ーFin