ズキュ,と。
頭より先に心が理解する意味不明な現象が起きた。
わざわざ耳元近くで囁いてくれた悪いヴァンパイアは,はわはわと震える肩を抱き締める悪戯オプションまでつけてくる。
「私はそのままでいいの!!!」
「そうですね,そのままでいいです。なのでついでにそれ,被ってみてくれません?」
血夜くんは私を立ち上がらせながら離した。
私は訝しげに血夜くんを見る。
「そんな格好で飛び回る彼女を咎めたりしないので,彼氏のために,どうぞ」
そこで私は気づいた。
血夜くんのそのままと私のそのままの意味が違うことに。
血夜くんのそのままは,そのままの格好で,と言うこと。
私はどうせ誰にも逢わないからと,パジャマのまま文字通り飛び出して来たのだった。



