凭れかかる私は,片手を握られて。
しっかりと血夜くんに抱き締められ,密着する。
危ないでしょと唇を尖らせた私の耳元で,血夜くんは笑った。
「すみません,普通に抱き締めても良かったんですけど。朱鳥さんが飛び込んできてくれるなら,そっちのがいいかなって思って」
私は腕を引かれただけ,飛び込んだんじゃない。
それでも,抱き締める前提なのが血夜くんらしい。
「いいんですよね?」
血夜くんは,まるで心を読むように聞いてくる。
「私のことは分かるのに,それは分からないの?」
「じゃ,遠慮なく」
答えじゃない答えも,簡単に拾ってしまって。
「1つお願いがあるんですけど,いいですか?」
そんな血夜くんに,私は頷いた。
「名前,朱鳥って呼び捨てにしても良いですか?」



