「あの,さ。1つ聞きたいんだけど」



血夜くんにしか聞けなくて,血夜くんの答えじゃないと意味がないこと。



「男女のヴァンパイアがいて,女の子はいつも男の子に好きだと言われてて。真に受けるようなことじゃないって,思ってて」



それでも,突き放したりしなくて。

友達でも彼氏でもない関係で,会わない日は少しそわそわしたりして。

慣れちゃって,日常になった関係に居心地よく感じてて。



「でも仮に,仮に男の子の気持ちが本気だったなら……それって,女の子が不誠実で最低なことをしてるって……血夜くんも思う?」



私のしてることって,この平和な関係って。

ほんとはとても,ひどいことなの?

周りに言われるほど,私が悪くて,血夜くんは可哀想なの?

微笑を浮かべながらようやく血夜くんの顔を見ると,血夜くんは思いの外ちゃんと話を聞いていた。

やっぱり,いい。

臆病な心が,そう口にしようとする。