半年も過ごしてきて。



「私がひどかったとして,血夜くんは私がどんなヴァンパイアかなんてとっくに知ってるし,それでも側にくる血夜くんを突き放さなかったから何なの? それってほんとに,血夜くんは可哀想なの?」



そんなの,他のヴァンパイアに言われることじゃない。



「私達2人の関係じゃん。この人間関係に,他の人っているの? 私と血夜くんと,それ以外でしかないのに。気に入らないなら,血夜くんに言ったらいいじゃない!!!!」



私が頼んだんじゃない。

側にいてくれとか,好きだとか返した訳じゃない。

それでも血夜くんが,私に時間を使うこと。

私に文句を言わないでよ。

もし本当に血夜くんが離れていったとして,馬鹿な私が手を伸ばしたとしても。

それをどうこう言われる筋合いはない。

せめて,ほんとに血夜くんを気の毒に思ってから来て。

いつの間にか隣に来ていた血夜くんが私の手を握る。

抵抗はしなかった。

出口を潜るとき,また血夜くんの年の違う友達がいて。

昨日はほんとに,たまたまでもなんでもなくて。

私が来ただけなのだと分かった。

また血夜くんを拐うことが申し訳なくて,ぺこりと頭を下げる。