翌日

昨日の『8』からのメッセージで指定されたのは『どこで』だった。
もし『誰が』だったら『誰かが』を試してみようと思ってたけど…
ちなみに『どこかで』は無効だった。


…なんだろう。
だんだんゲームの運営が雑になってきている気がする。

まあ最初からこのゲームは無理矢理感が否めなかった…。
だがそれでもだ。それでもルールがめちゃくちゃだ。
そもそも犯人はなんで『いつどこで誰が何をした』を選んだんだろう。
それがわからない。

なぜこんなにやりづらいものにしたのか。
このスタイルでなければならない理由でもあるのか?

結局目的はなんなのか。



律儀に日曜日まで制服を着てドアを開けると、どんより曇った空が広がっていた。
低気圧で頭が痛い。
耳鳴りがする。
小さくため息をつき、いつもの道を行く。


「ひかる!」

「祐樹」

久々に祐樹と朝から合流した。
彼はもうちゃんと敬服を着ていない。
まあ誰も咎めないからね。
制服のズボンに黒のパーカーを着ている

「おはよ」
「おはよう」
「眠れた?」
「あんまり」
「だよね」
苦笑いをしてふぅと息を吐く祐樹。


「昨日…柿田達は無事だったのかな」
「…いや、佐滝と浜崎が死んだみたいだよ」
「……」
不意に祐樹の歩度が落ちた。
喜怒哀楽のわかりづらい表情で俯いている。

「祐樹?」
「…そうか…優…」
ああ…佐滝と仲良かったよね。
「大丈夫?」


ふと、祐樹は光のない目で前を見る。
何かを見ているわけではなく、ただ遠くを見つめる。

「……クラスメイトが死ぬことに…慣れてきてる自分が怖いや」
「……」
「前にひかるにクラスメイトの死に慣れるなって言ったけどさ…思えば、無理な話だよね」

……

「誰も死なない日が珍しいなんて…俺たちイカれてるね」
「……そうだね」