ーー花咲凰成さま。
花咲家当主の子息として生を受け、将来はこの家の当主になるお方だ。
私よりも二つ上の先輩であり、成績優秀でスポーツ万能。
ブラウンの艶のある髪を持ち、天然パーマなのかふわふわしており特徴的な瞳は茶色と紫のオッドアイだ。そんな顔面偏差値の高い凰成さまはとてもモテ男子として有名だ。
そんな人が、目の前にいるなんて。
「お初にお目にかかります、彩華家から参りました彩華鈴愛と申します。本日からメイド補佐として精一杯努めさせていただきます。よろしくお願いします」
丁寧にお辞儀をすると「顔を上げて」と凰成さまに言われたので頭を上げる。
「こちらが世話をしていただくのだから君が頭を下げることはない。こちらこそよろしく頼むよ。知ってるだろうから敢えて自己紹介はしない」
「あ、はい……承知いたしました」
「そうだ、今日は学校に一緒に行くと話が来たのだけど君は一緒でも構わないかな?」
「はい、大丈夫です。よろしくお願いします」
私がそう言うと凰成さまは優しく微笑んでくれた。
今回見た感じは、あの何度も読み聞かせをされた絵本に出てくるようなヴァンパイアの面影のようなものは凰成様にはなくて……少しだけ拍子抜けした。



