名前を呼びかけると、彼はゆっくり目を開く。
目を開いた浅見くんからは、もう完全に周作の気配は感じられない。
「わっ、ごめん!」
意識がはっきりしたらしい浅見くんは、わたしに抱き着いていることに気が付いて、慌ててパッと両手を上げる。
最後の花火の光を受けたその顔は、真っ赤になっているように見えた。
「周作さんは……?」
「もう未練が無くなったんだって」
「……そっか」
その短い答えで、きちんと伝わったのだろう。浅見くんは少し寂しそうな顔をした。
──花火大会の終わりを告げる放送が、会場の方から聞こえ始めた。
「周作さんに意識乗っ取られてる間に、花火終わっちゃったんだな」
「……来年も、また二人で来ようよ」
そんな言葉が、わたしの口から自然に出てきた。
『今世の貴女を愛し、幸せにしてくれる人は、きっとすぐ近くにいます』
先ほど周作に言われた言葉が頭に蘇る。



