「……周作さんは、150年もの間あなたを──雪子さんの生まれ変わりを探して、成仏せずこの世に留まり続けていたんだそうです」
「樹君……!」
約束が違う、と言いたげに、周作さんは声を荒げる。
僕はそんな彼を見上げて「少しの間だけならいいっすよ」と呟いた。
「僕に取り憑いてしゃべることぐらいできるでしょ。幽霊なんだから」
その言葉に、周作さんはしばらく目を見開いて固まっていたが、やがて「……いいのか?」と問うた。
そして「すまない。恩に着る」と言って、ゆっくり僕の身体に触れる。
ぐらり、と世界が歪むような感覚がして力が抜けていく。
霊は昔から嫌というほど見てきたが、取り憑かれるなんて初めてだ。なるほど、こういう感じなのか。
そんな微妙な感動と共に、僕の意識は奥底へと追いやられていった。



