そう尋ねれば、周作さんはすぐに首を振った。
「もし彼女に雪子さんの記憶があったら……いや、無くともか。彼女はきっと、『自分は生まれ変わっているのに、僕が未だに霊としてこの世に留まっている』という事実を気に病んでしまう。だから、僕も生まれ変わって今は幸せにしているということにしたい」
「なるほどなぁ」
愛するがゆえに、周作さんは彼女を騙そうとしている。
「……まあ、『前世の記憶がある』ってのも『幽霊が見える』ってのも、非現実的なのには変わりないしな。二つの非現実的なことを説明するよりは、『前世の記憶がある』って一つだけに絞った方がまだマシか」
僕は悩んだ末、こう自分に言い聞かせて彼の頼みを聞き入れることにした。
それから数日、転生を信じてもらうためにどう説明するか考えるのに時間を使い、名前は知っていても話したことがない北村さんに話しかける覚悟を決めるのに、さらに数日使った。



