【短】またいつか、同じ夜空を見られたら




「先に行っててって言われても……神社ってどこ……」



心細い気持ちのまま、下駄をカポカポ鳴らしながら歩く。

古びた案内地図が目に入ったので、ボーっと見上げる。地図から神社を探そうとするものの、頭に上手く情報が入ってこなくてなかなか見つけられない。


行き交う人たちの楽しそうな声が、どこか遠い。

さっきまでわたしも楽しそうな人たち側だったはずなのに。




……そのまま、どれぐらいの時間が経っただろう。


事件が起こったのは、突然だった。




「うわっ!?」




薄暗い中、わたしは死角から誰かに思い切り突き飛ばされた。

予想だにしなかった衝撃に、よろめいて勢いよく転倒する。


突き飛ばしてきたと思われる人が、転んだ勢いで地面に投げ出された巾着袋を拾い上げ、一目散に走っていく。



「え!? 嘘、だめ、待って」



ひったくりだ。

後ろ姿しか見えないけれど、あれだけの力で突き飛ばしてきただけあり、そこそこ体格のよい男のようだ。