冬の淡い朝の光がカーテンの隙間から差し込んでいた。
 うーん、と伸びをして、柚樹はぐしゃっと頭をかきむしる。
 良く寝た気がするな。

 今何時だろうと目覚まし時計を見たら、もう9時を過ぎていた。

(今日はフライパン攻撃なしか)
 毎日やかましいと思っていたのに、なければないで寂しいような。

 とりあえず、どこに出かけてもいいように、動きやすいモスグリーンのトレーナーと、ブラックジーンズに着替えて下に降りると、柚葉は鼻歌混じりに冷蔵庫を開けているところだった。

「あら、もう起きたの? 朝ごはん今から作るところだから、まだ寝てて良かったのに~」
「え? ああ。うん」と、曖昧に頷きながら柚樹は首を傾げた。

 今から作るというわりに、部屋には食べ物の匂いが充満していたからだ。

 にしても、今日はやけにゆっくりしてるな。
 いつもは学校に行く日と同じくらい早起きさせられるのに。

「あのさ」
「うん?」

「今日はどこにも出かけないの?」
「出かけるわよー。超スッキリするとこに。でも近場だからゆっくりでいいの」

「ふうん」
(近場で超スッキリするところって、どこだろう)

 柚樹は頭を巡らす。カラオケとか、ボーリングとか……

(CCパークだ!)
 思いついた柚樹は、一気に興奮した。