『きっと、生まれ変わって……』

 それ以上は聞き取れなかった。

 はらりと、柚樹の足元に、キャメル色のコートが落ちた。
 柚樹はそれを拾い上げ、抱きしめながら、泣いた。

 ちらちらと、いつしか小粒の雪が舞い降りていた。

(寒いと思ったら、初雪じゃん)と、泣きながら柚樹は笑ったのだった。