甘くて優しい青春恋物語 ~お隣さんと夏祭りと、熱くて甘すぎる恋~

「ふへへ~、今日も千鶴が天使でヤバ~! マジで可愛いんだけど……あたし、キレ散らかしてもおけ?」

「だ、ダメだと思う。」

「ならしない~!」

 私の一言で、すぐに考えを変える万季ちゃん。

 そして万季ちゃんはそう言うと、今日も今日とてとっても幸せそうな笑顔を浮かべた。

 その笑顔だけで、私もつられて口角が上がる。

 けど、私が天使とか可愛いとかはよく分かんないかな……あはは。

 万季ちゃんのほうがよっぽど可愛いのに……と思うけど、それは口に出さない。

 出してしまうと、きっとまたマシンガントークが返ってくるから。

 以前、万季ちゃんにそういった旨の事を伝えたんだ。

 そうしたら凄い勢いで『千鶴のほうが可愛いって!』と言われてしまい、私についての熱弁をされた。

 だからあまり、迂闊に口にできない。

 ぼんやりと、一人そんな考えに耽る。

 その時に万季ちゃんが、「あっ。」と何かを思い出したように声を洩らした。

 そして廊下を歩きながら、私のほうに視線を向けて。

「そういえばなんだけど、今日古城先輩と学校来てたよね? あれ、どうしてなの? いっつも千鶴一人で学校来るじゃん。」