甘くて優しい青春恋物語 ~お隣さんと夏祭りと、熱くて甘すぎる恋~

「どーいたしまして。授業、頑張るんだぞ。」

「ふふっ、はいっ! 理仁さんも頑張ってくださいねっ。」

「あぁ。」

 理仁さんはここから一番近い駅から電車に乗って、大学に行くらしい。

 だから別れ際にそんな会話を交わし、校舎へ向かおうとする。

 ……でも、近くから驚いたような声が上がったって足を止めた。

「ねぇ、あの人古城先輩じゃないっ!?」

「あっ、マジじゃん! ラッキー、古城先輩に会えるなんてっ!」

「相変わらず古城先輩はかっこいい……! 今日は良い日になりそうっ。」

 今登校してきている生徒たちは、ほとんど理仁さんのほうを見ている。

 一年生は何の事なのかさっぱり分かっていないらしいけど、二年や三年はすっごく反応していた。

 ……それもそのはず。理仁さんは、卒業するまで騒がれていた有名人だから。

 理仁さんは俗に言うイケメンさんらしく、少し不良っぽいところも相まってか女子人気が凄まじかった。

 友達伝手に聞いた話だと、昼休憩はほとんど理仁さんの鑑賞会になっていたんだとか……。