甘くて優しい青春恋物語 ~お隣さんと夏祭りと、熱くて甘すぎる恋~

「れ、怜司君っ……って、行っちゃった……。」

 急いで呼び止めてみても、怜司君は振り返る事すらせず立ち去って行った。

 完全に怜司君の背中が見えなくなった後、その場に沈黙が広がる。

 理仁さんを避けていたから、顔を見れない。

 ううん、顔向けできない。

 私は自分勝手に動いて理仁さんを避けて……探されるような人じゃない。

「あの、私帰りますっ……!」

 心の準備ができていないから、何を話せばいいか分からない。

 だから咄嗟に逃げようと急いでそう言ったけど……逃げる事は、できなかった。

「待ってくれ、千鶴。」

 右手首を優しいけれど強い力で掴まれ、足が止まる。

 それと同時にどこか震えている声も聞こえてきて、私は足が動かせなくなってしまった。

「千鶴、何があった。」

 あまりにも単刀直入に尋ねられ、返す言葉も見つからない。

 だって、その言葉だと確信しているようにしか聞こえないんだもん。

 理仁さんは、分かってて聞いてきてるんだ。意地悪な人だ……っ。

「な、何もありません……だから、もう離してくださいっ……!」