甘くて優しい青春恋物語 ~お隣さんと夏祭りと、熱くて甘すぎる恋~

 分かってる。そう言った怜司君は、静かに目を伏せた。

 まるで、何かを諦めてしまったかのように。

 そして次に目を開けると、これ以上なく切ない表情を浮かべた怜司君と目が合った。

「ほら、お迎えの王子様が来てるよ。俺はここで、バイバイだね。」

「えっ?」

 お迎え? 王子様?

 何の事かさっぱり分からず、素っ頓狂な声を洩らす私。

 けれどすぐ、私は驚く事になった。

「……――見つけた。」

「っ……!」

 心地がいいアルトの声色。どこか優しさと焦りを含んだような、声色で。

「りひと、さん……?」

 彼は……理仁さんは、私に視線を向けてきていた。

「ははっ、流石千鶴ちゃんの王子様だね。視線が怖いですよ、古城先輩。心配しなくても、千鶴ちゃんを取って食ったりしてないですから。」

「……分かってるなら、当たり前だ。」

 愛想笑いのような作った笑みで、理仁さんと軽く言葉を交わした怜司君。

 そしてそのすぐ後に、怜司君は私に背中を向けた。

「俺はお邪魔みたいだから、花火大会の出店で何か買ってくるとするよ。じゃあね千鶴ちゃん、また学校で。」