夏だからか、もうすぐ夕方だというのに熱さが残る。

 ラフな格好をして私は手で自分を扇ぎ、きょろきょろと視線を動かしていた。

 時間的にもうすぐで来てくれると思うんだけどな……。

 私は今、公園で人を待っている。

 もうそろそろ集合時間だという事で、私はいつになくそわそわしていた。

「千鶴ちゃん、お待たせ。」

 その時、少し遠いところからそんな澄んだ声が聞こえてくる。

 だから慌てて視線を上げて、来てくれた彼を視界に入れた。

「ううん、全然待ってないよ。むしろ、私が早く来すぎちゃってるだけでっ。」

 あははと乾いた笑みを浮かべ、彼……怜司君にそう言う。

 実は今日、私は怜司君と花火大会に行く事になった。

 事の発端は、私が理仁さんを避けだしてからの頃。

 その理由を知っていた怜司君は不意に、こんな提案をしてきたのだ。

『ねぇ、気分転換に一緒に花火大会に行かない?』

 最初は私も、理仁さんに申し訳なかったから断っていた。

 だって、理仁さんのは断って怜司君と行くなんて……おかしな話だもん。