甘くて優しい青春恋物語 ~お隣さんと夏祭りと、熱くて甘すぎる恋~

 これ、絶対痛いっ……。

 昔から何もないところでこけてしまう事が多かったから、痛みには慣れていると思うけど。

 それでも、痛いのは嫌だ。できる事なら避けたい。

「……ったく、千鶴大丈夫か。」

「り、理仁さっ……!」

 だけれど、私はこけずに理仁さんの腕の中に居た。

 ふわっと、理仁さんの匂いが掠めて体温が熱くなっていくのが分かった。

 わ、私今……り、理仁さんに抱きしめられて……っ。

 咄嗟の事だろうけど、恥ずかしさがぶわわっと苛んできた。

「千鶴って、ほんとにちょっと抜けてるとこあるよな。気を付けろよ。」

「う……ごめんなさい。」

 私だって、治したいとは思っているけど……。

 理仁さんに正論で刺され、うっと言葉に詰まる。

 その時に私を解放してくれたけど、何故か次の瞬間理仁さんはこんな事を言った。

「学校行くんだろ? 送っていくから、さっさと行くぞ。」

「えっ……そ、そんなの悪いですっ。理仁さんも大学、行かなきゃならないんじゃ……」

「日下部は大学とそこまで遠いわけじゃないから、これくらい平気だ。それにお前をほっときゃ、またどっかで怪我するかもしれねぇだろ。だったら送ってったほうがこっちも安心だ。」