『ふ、古城先輩ってとっても優しいんですねっ。助けてくださって、本当にありがとうございます!』

 俺が千鶴に恋をしたのは、高三の前期だった。

 偶然同じ委員会になり、そこで知り合って仲良くなった。

 だが……千鶴と仲良くしようと思って入ったわけではない。

 同じ委員会になるまで千鶴のことは全く知らなかったし、むしろその逆で。

 面倒事に巻き込まれたくなかった俺は、人と関わるのを極力避けようとしていた。

 委員会だって入るつもりなんて微塵もなかったが、強制的に入る形となってしまっていた。

 最初こそは面倒だの、どうでもいいだの思っていた。

 委員会なんて、適当にすればいい。

 そう思っていた矢先に、俺は恋に落ちた。

 千鶴は元々何事にも一生懸命でしっかりやり遂げる生真面目な性格だったから、委員会の仕事にも手を抜かなかった。

 ただ、少しおっちょこちょいな部分もあるらしい。

 俺はあまり詳しくは知らないが、『去年の文化祭準備で発注ミスをしかけた』やら『集合時間を間違えて他の奴よりも二時間も早く来てしまった』という話は聞いていた。