甘くて優しい青春恋物語 ~お隣さんと夏祭りと、熱くて甘すぎる恋~

「そんなの気にしないで。千鶴ちゃんになら、どんな迷惑だってかけられても良いよ。むしろ、千鶴ちゃんが迷惑だって思う事は俺にとって迷惑じゃないから。」

「ふふっ、そっか。」

 迷惑が迷惑じゃないなんて、そんなわけないのに。

 だけどそう言われた事実が嬉しくて、つい頬が綻んだ。

 少しだけ、心の余裕ができた感じが私の中に生まれる。

 ……でもそれは、すぐになくなってしまう事になった。



 その出来事が起きたのは、数日後。

 学校から帰るのが遅くなってしまって、急いで校門からでた時の事だった。

「ねぇ理仁っ! 今度服買いに行きたいから付き合ってー。」

「めんどいからパス。つーかベタベタくっつくな、暑い。」

「うっわ、ひっどー!」

 理仁さんと、女の人の声……?

 それに気付いた私は、反射的に校門の影に隠れてしまった。

 隠れる必要なんて、きっとないのに。

 頭ではそれが分かっていても、どうしてもそうしなきゃダメだった。

 だって――理仁さんとその女の人が、お似合いのカップルにしか見えなかったから。