甘くて優しい青春恋物語 ~お隣さんと夏祭りと、熱くて甘すぎる恋~

 曇りは、あまり好きじゃない。

 晴れや雨みたいなはっきりした天気は好きだけど、曇りは予測できないから。

 それに雲の色が灰色で、気分が乗らないから。

 そんな事思っても何も変わらないのは知っているけど、つい考える。

「……行ってきます。」

 私はそういった、どんよりした気持ちを抱えつつ玄関の扉を開けた。



「おうおう今日も可愛いあたしの天使や、如何なる理由でそんなむすっとした顔してるんだい?」

「そう見えるの? 私。」

「そりゃあまぁ? ま、どうせ天気が曇ってるから~とかの理由でしょ?」

「……万季ちゃんはエスパーなの?」

 今日は先に教室に来ていたらしい万季ちゃんと他愛ない話をしながら、自分の机に向かう。

 だけどいつもは私の机までついてこない万季ちゃんなのに、今日は後ろから着いてきていて。

「千代河さん、何で千鶴ちゃんに着いてきてるの?」

「えっ? あー、ちょっと千鶴に聞きたい事があってね。」

 その時怜司君も不思議に思ったらしく、万季ちゃんに尋ねていた。