甘くて優しい青春恋物語 ~お隣さんと夏祭りと、熱くて甘すぎる恋~

 さっきから心臓がうるさくて、仕方がない。

 小さな声でそう言うと、分かってくれたらしく理仁さんは手を引っ込めてくれた。

「……悪い。少し暴走した。」

「いえ……だ、大丈夫ですっ。」

 暴走?という意味は私にはピンと来なかったけど、左右に首を振って否定する。

 理仁さんが謝る事じゃない。それは分かる。

 もちろん、突然頬を触られたのはびっくりしたし緊張したけど、嫌とは思わなかった。

 その逆で、むしろもう少し……って。

 わ、私何を考えてっ……!?

 ど、どうしてそんな事思ってるんだろうっ。

 しかも、すぐ出てきたのは何でっ……。

 自分の思考の変化についていく事ができないから、一人あたふたする。

 それと同時に理仁さんと居るとどうしてもドキドキしてしまうから、私はその場から立ち上がって。

「わ、私そろそろ帰りますねっ! 勉強教えてくださってありがとうございましたっ!」

 言い逃げのように自分の言いたい事だけを伝え、持ってきたナップザックを抱える。

 そして理仁さんのお部屋から出ようと、踵を返した時。