甘くて優しい青春恋物語 ~お隣さんと夏祭りと、熱くて甘すぎる恋~

 花火大会に誘う為に勉強してたのに……言うタイミング忘れちゃってた……。

 自分の事を殴りたくなってしまったけど、今ならちょうどいい。

 ……よし、言おう。

 大きく深呼吸を一つしてから、意を決して口の中で繰り返す。

 花火大会、一緒に行きませんか……って言うんだ!

「なぁ、千鶴。」

「は、はいっ! 何でしょうっ!」

 けれどその前に名前を呼ばれてしまい、反射的に変な声で返事してしまう。

 理仁さんはその事をさほど気にしていないのか、一瞬目を伏せてから私を見据えた。

「今月、花火大会あるだろ? 千鶴が良かったら、一緒に行かないか?」

「えっ……い、いいんですかっ?」

「よくなけりゃ、誘わねーだろ。」

 た、確かにそれはそうだっ……。

 でもまさか、理仁さんがそう言ってくると思っていなかったから拍子抜けしてしまった。

 も、もちろん嬉しいし行きたいけどっ……私なんかで、いいんだろうか。

 誘おうとしていたからそんな事考えていても仕方ないけど、どうしても考えちゃう。