甘くて優しい青春恋物語 ~お隣さんと夏祭りと、熱くて甘すぎる恋~

 という、淡すぎる願望を抱く私。

 その時、パチッと理仁さんと視線が合った。

 ……っ、びっくりした。

 思わぬ事だったから、思わず固まってしまう。

 すると理仁さんはそんな私を不思議そうに見ていて。

「千鶴、どうした?」

「あっ、や……な、何でもないですっ……。」

 私はつい、テンパっておぼつかない言葉で返す。

 ドキドキしている心臓の音を、一心に聞いてしまいながら。



「とりあえず一回休憩入れるか。」

「はいっ。ふぅ……んー。」

 理仁さんのその声で、私はシャーペンをノートの上に置いた。

 おもむろに時計を見てみればもう一時間が経っていて、一息吐いた。

 ちょっと疲れた……でも、結構分かってきた気がする。

 理仁さんはよく「解き方さえ覚えてしまえば後は早い。」って言っているけど、きっとその通りなんだろう。

 だけどその解き方も覚えられそうにないから、理仁さんは頭が良い人なんだとしみじみ感じる。

 腕をうーんと伸ばし、体を軽くほぐす。

 その時にやっと、本来の目的をはっと思い出した。