甘くて優しい青春恋物語 ~お隣さんと夏祭りと、熱くて甘すぎる恋~

 相変わらず、おしゃれなお部屋だなぁ……。

 実は理仁さんのお部屋には何度かお邪魔させてもらった事があって、その度に同じような感想を抱く。

 男の人らしいモノトーンで統一されているお部屋は、大人っぽさが醸し出ている。

 小物も家具も理仁さんの美的センスが表れていて、落ち着く雰囲気が漂っていた。

 こういう雰囲気、結構好きだな……。

 暗い系統の色が落ち着く私はそう思いながら、建前で持ってきた教材を取り出す。

 建前は、分からないところを教えてもらいたい。

 本音は言えるはずないから、私にはそう言うしかなかったんだ。

「ん、熱いから気を付けろよ。」

「わっ、ありがとうございます!」

「どういたしまして。」

 そうこうしている内に理仁さんが戻ってきて、私の前にココアが入ったマグカップを置いてくれる。

 正面に理仁さんが座り、向かい合わせの体制になったところ。

 そこで私は一息吐こうと、マグカップに手を伸ばした。

「いただきます。」

 ふーふーと冷ましてから、小さく口に含む。