「慣れって怖いですね。」

「あはは……確かにそうかも。」

 茉優ちゃんは普段から洋菓子を食べないらしいから、私のは完全に慣れだろう。

 でも茉優ちゃん、キャラメルは好きだって言ってた気がする。

 今ここにあるわけじゃないけど、今度プレゼントしようかな。

 パクッと苺を頬張りながら、ぼんやりそう考える。

 その時に何やら茉優ちゃんが、壁に貼ってあるらしいあるポスターを凝視していた。

「花火大会……もうそんな時期なんだ。」

 茉優ちゃんが小さく呟いた言葉を、私も脳内で駆け巡らせる。

 そっか、もう七月だもんね。

 私の住んでいる地域は七月下旬に毎年花火大会があって、ひっそり楽しみにしているイベント。

 最近は少しだけ高校の課題が忙しいから、すっかり忘れちゃってたけど……。

「茉優ちゃんは、彼氏さんと行くの? 花火大会。」

「う……い、行くって言ったら、どうするんですか。」

「どうもしないよ~。ただなんとなく、彼氏さんが居るんだったら一緒に行くのかなって思っただけだよ。」