甘くて優しい青春恋物語 ~お隣さんと夏祭りと、熱くて甘すぎる恋~

 勘違いされたくない一心で、首を横に振る。

 そんなわけない。私と理仁さんがそういう関係になるなんて、あり得るわけがない。

 ただのお隣さんで、先輩。それだけの関係だから。

 一生懸命否定していたからか、きょとんと呆気に取られている様子の怜司君は次の瞬間吹き出して。

「そっか。なら良かった。」

 と、よく分からない言葉を口に出した。

 良かった? 何が良かったんだろう……?

 すぐに疑問が浮かんできたけど、考えてみても分からない。

「おーいお前ら、席つけー。」

 そして先生も来てしまったから、それ以降は全く考える事はできなかった。

 もちろん、怜司君に直接聞く事も。



 その後の授業は思いの外淡々と終わり、気付けばもう放課後。

「んじゃ、千鶴バイバイ!」

「うん、また明日万季ちゃんっ。」

 私は部活に所属しているわけではないから、ホームルームが終わったらすぐに帰宅……するわけではない。

 万季ちゃんと途中で別れると、いつも通り昇降口で靴を履き替える。

 学校を出て私は、マンションとは反対方向へと歩を進め。