甘くて優しい青春恋物語 ~お隣さんと夏祭りと、熱くて甘すぎる恋~

 万季ちゃんには以前、理仁さんとお部屋が隣同士だというお話はしていた。

 そのきっかけも、今回みたいに私が理仁さんと一緒に学校に来た……からなんだけど。

 でもそんな事実を理仁さんファンの女の子に聞かれたら、フルボッコにされる事間違いない。

 万季ちゃんの言う通りだし、理仁さんが今でも人気なのは分かってる。

 だから、このお話は信用できる万季ちゃんにしかしていない。

 まぁ、今みたいに危なっかしい場面はあるけれど……。

 そういった話をしていたら、いつの間にか教室に着いていて自分の席に着く。

 はーっと、一つ息を吐いてからスクールバッグを開けた。

 その時隣から不意に、こう声をかけられた。

「千鶴ちゃん、おはよう。」

「おはよう、怜司君っ。」

「ふふ、今日も千鶴ちゃん元気だね。こっちまで元気になってくるよ。」

「そうかな?」

 うーん、自分じゃこういう事って分かんないや……。

 私がそう考え込んでいるのを微笑ましそうに見ているのは、クラスメイトで友達の怜司(れいし)君。