甘くて優しい青春恋物語 ~お隣さんと夏祭りと、熱くて甘すぎる恋~

「褒められてる気がしないよ……。」

「えー? これでもあたしなりに褒めてるつもりなんだけどなー。」

 うーんと本気の様子で悩み始めた万季ちゃんは、言葉通り褒めてくれたんだとは……思う。

 でも私は全然褒められているようには感じない……。やっぱり人それぞれ感性が違うのかなぁ。

 そう考えてしまって、私も本気で悩む。

 そんな悩み始めてしまった空気を変えたのが、万季ちゃんのある一言だった。

「て言いますか、千鶴と古城先輩の部屋が隣同士なのは知ってたけど……そういうハプニングもあるんだねぇ~。千鶴、ドキドキしたでしょ。古城先輩、イケメンだからね~。」

「あ、あんまりドキドキとかは……って、ちょっと万季ちゃんっ! お部屋の事は……!」

「あ、やべっ。ついつい勝手に口が。」

 つい……じゃないよっ! もし、誰かに聞かれでもしたら……!

 瞬時に焦りが生まれて周りをぐるっと見てみるも、誰もこっちのほうを見ていない。きっと、運良く誰にも聞かれなかったんだ。

 その事を確認して、私はほっと安堵の息を吐いた。