― 伝わりますか ―

「……わしの、身の上話を、聞かせよう……」

 と、悠仁采は月葉を強く抱き締め、途切れ途切れにそう言った。

 “何故(なにゆえ)私にそのようなことを”

 崩れそうになった身体を抱き()めてくれる力強い手に疑問を感じる。

「わしが十三になったばかりのことだった。わしの家は堺の橘という、その当時かなり大きな大名館で、わしはそこの嫡男(ちゃくなん)の一人だった。一人というのはわしが双子の片割れだったからだ。弟はわしの冷静で情緒なき性格とは違い、柔和で優しい心を持ち合わせていた」

 月葉は緩んだ腕の中から顔を上げて首を横に振った。“悠仁采様は冷たくなどありはしない”というのである。

「気にするな。わしは自分はそれで良いと思っている。……話を元に戻そう。その頃町では、わしと弟と、どちらが橘家を継ぐかという話で持ちきりになっていた。皆はわしだと思ったに違いない。何となれば、大名家を盛り立てるだけの荒々しい気性を持っていたのは、わしの方だった」

 悠仁采は一息つくと、呼吸を整えた。

 涙が止めどなく溢れる。