ロネたちが異世界から魔王が公演に来ることを告げられ、早二週間。ついにこの日がやって来た。

「魔王ってどんな人かな？すっごいおじいさんがやってんのかな？」

「噂では、魔王だけじゃなくてその側近の人も来るらしいけど、どんな人だろ」

「講演が終わった後もしばらく魔王たち、こっちにいるみたいだぜ」

「魔王と仲良くなれるかな〜」

そんなことを生徒たちは話しながら講演が行われる体育館へと移動する。ロネもゾーイたちと共に体育館へ向かっていた。

「魔王か……。勇者の敵なんだが」

ネイサンがため息混じりに言う。確かに勇者と魔王は小説などでは敵対し合っている関係だ。警戒した目をするネイサンに、ナタリーが抱き付く。

「そんな顔しな〜い！講演しに来るってことは敵じゃないんだから！」

「そうだよ。敵対してたら普通ここには来ないよ」

ロネもネイサンに声をかける。ゾーイも口を開いた。

「ネイサン、何かあったら私が守ってやる」