「ヴァ……? ……でも,だって,その時は浅海ちゃんがそんな事をするなんて予想できなかった! あの子供をそのままにするのは,絶対に正しいことだった! ただ放置したんじゃない,教えて,そのまま帰したの! 私は美海より駆くんの事を分かってる! 駆くんの心を理解してあげられてる! 駆くんの考えくらい分かってるのよ!!!!」

「だから,それがなんだって言うの? お姉ちゃんが傷付けたのは,誰? 駆くんが死んだのはどうして? 別に子供は関係ないでしょ? いくつもポイントがあったのに,ドジをして,挙げ句の果てに怖がって,お姉ちゃんが選ぶ選択を間違え……」

「美海……!!!!!!」



お腹から声を出した。

涙が溢れて止まらない。

やめて,もういいの,美海。

私が絶叫に近い声をあげたのと同時,ちはやが美海なの口を塞いだ。



「なにするの。噛みつくよ,離してヴァンパイアの優等生」



キリリと冷めた瞳を向けた美海に,ちはやは。



「お前こそ,浅海のほんとの願いくらい汲み取ってやれよ」



そう私を指差した。

ずっと私を忘れたような空間で,ちはやだけが私を見てくれていた。

美海が途端に静かになって,大人しく口を塞がれる。



「どうして泣くの,浅海」