「でも,駆くんは死んだ。だから,人間の浅海はこっちに来たのかと思った。人間には良くある感情。友達に背景は関係ないから,私も別に何も言わなかった。嘘も1つもついてない」



お兄ちゃんが死んだ。

美海ははっきりと口にした。



「美海は,どうしてお兄ちゃんが死んだんだと思う?」



そこまで分かってるなら,教えてくれるだろう。

もしかしたら真実まで全て知っているのかもしれないと思った。

逆さまなせいで,噎せる。



「浅海を下ろして,特待生。くるしそう」



名前1つ呼ばれないちはやは,私を繋いだまま床に下ろした。



「分からない。私も調べたけど,人を殺したヴァンパイアなんて見つからなかった。お姉ちゃんに聞いても何も言わないし,でもお姉ちゃんに人を,それも駆くんを殺すなんて出来るはずも理由もない。何か知ってるのは確かだけど,殺したとなると違う……たぶん」

「事故なら,あるの? 可能性」

「ないともあるとも,言えない」



美海は私の事を知っていて,友達でいてくれた。

何も言わず,お兄ちゃんの事まで気にしてくれていた。



「どうしてなの,美海」

「どうしてって言われても……」



その質問自体間違っているように,美海は首をかしげる。