そうだ,と私は確信した。

横の幅が少し下手くそなヒントだったけど,文字を"打てない"両端が白いことにも頷ける。



「~_2…\+;&…1~:」



謎は,ここだけ。

数字とマークの表示に切り替えた。

ヒントの文字が全てひらがなであることから,謎の文字とひらがなを照らし合わせる。

あ なら1。

い なら/。

頭で唱えて,その後暗号を見ながら文章にしていく。



「音,楽……室で,あお,う?」



ここじゃ聞こえないはずの,音色が頭に響いた。

無邪気で,なのに繊細さを持ったお兄ちゃんは,ピアノを好んでよく弾いた。

私には真似できない趣味だった。

そしてこの学園には,毎日飽きもせずピアノを弾く人がいる。

とても有名な,誰との関わりも持たず,物静かで儚い,全てに置いて完璧と言われるヴァンパイア。

私はスマホを突き返して,頼んだ。



「私を誰にも見えないように,音楽室へ連れていって」



折角手掛かりを掴んでも,空振りするかもしれない。

1年の校舎で,吸血しないさせないで有名な私が,ここをうろついているわけにはいかないのだ。

ここに来たときよりその重要性は大きい。

見つけたいの。

ちひろはため息を吐いた。



「貸し1つ」



前髪をかきあげ,私を片手で抱える。



「頭丸めてろ」



私はありがとうと頷いて,下を噛まないよう口を閉じた。