「特待生,呼んでる……夜休みに,前の場所って,言ってた……よ?」
美海の言葉に,頬杖を付いていた私は頭を持ち上げた。
とく,たいせい?
そんな該当者は,1人しかいない。
ちはやだ,と私は思う。
やはり後ろ姿だけでも,見られたからには無理があったのかもしれない。
誰にも喋らないよと,確信が欲しいのかと思った。
でもどうしてか知っている私の友達に声をかけるのは,本当に勘弁して欲しい。
私はこの大事でぎりぎりの関係を,そっとしておいて欲しいのだから。
「知り合いだったの?」
「え……と,それほどじゃ。その,前にちょっと」
ちょっと,何。
セルフでツッコミが入る位ひどい取り繕いだった。
でも,美海はそっかと笑ってくれる。
何て優しいの……
後で美海のお気に入りの人間探しを手伝ってあげようと思った。



