私は違和感を感じ,眉を寄せながら咳き込んだ。

どうして,分かったの……?

私まだ,何も答えていないのに。

じとりと見ると,言い訳染みた言葉が返ってくる。



「お前,ヴァンパイアにしては貧相だから。どうだ,人間であってるだろ?」



人間とは微妙に違うスカートの色を,私がしらないうちに見たのだと言えばまだ分かったのに……

素直に,即最低だと思った。

最低だと思ったけど,私は黙秘を貫いた。



「どこ行くんだよ」

「保健室。さっきこけて怪我したの。それからたった今,あんたに首絞められたしね」



毒々しく言い捨てて,外の音を気にしながら扉を開ける。

もう疑われるとか何でもいい。

さっさと早退しよう,そして,身を隠しながら帰ろう。



「保険医はどっちもヴァンパイアだぞ」



ピタリと足を止めてしまった。

振り替えれば,興味深そうに目の前のその口が開く。



「やっぱ,人間じゃん。なんで隠そうとする? 俺もそうだってわかってんだろ?」

「保険医がヴァンパイアって,どういうこと」

「そのまんま。今まではそこそこの器量だとは思ってたんだけど,そこそこ止まりでで気にしてなかったんだよ……でもまぁ,生徒喰いもんにしてるのみちぁな」



勝手に帰れば退学の危機。

でも,平和的に早退の許可をくれそうな権限のある教師はいない。