何それ。私のこと嫌いなくせに。好意があるようなこと言わないでよ。
けれど、卵焼きが食べたいと思ってくれているのは素直に嬉しい。
「……はい」
そっと差し出すと純は床に座りお弁当箱の蓋を空けた。そして血入りの卵焼きを手に取り口に入れる。
「んっ、すげぇ美味い。今日のは昨日より食べやすいし、ちゃんと味が分かる」
「昨日は調味料をごちゃごちゃ入れてたから。ち、ちなみに……美味しいってどういう感じ?」
「上手く言えないんだけど、なんかこう、血がたぎるような感じ。あと、脳みそもビリビリして、凄い、欲してたものが行き渡ってる。こんな感覚初めてで、ずっと忘れられなかった」
「じゃ、じゃあ、こっちは?」
血入りじゃない卵焼きを食べさせると、「こっちは別に。イマイチ……つーか、普通」と不服そうに返事をした。
私の勘は自惚れじゃなかったのかもしれない。
私の血が純の栄養になっている。
「こ、これ、食べてたら純は死なないと思う!!」
興奮気味に話すと、純も大きく頷いた。
「俺もそう思う。なんか、すごく……心地いい」
嬉しそうな顔をする純。私までつられて笑顔になる。
私の生き血が純の栄養になっている。これほど嬉しいことはない。だけど、
「この卵焼き、何入ってんの?」
不思議そうに問いかける純に、私の血だとは言えない。



