小柳くんは純のことを中二病をこじらせていると思っていた。
「宮崎さんも、健気に血を入れたり、アイツの嘘を信じてるんだからおもしろくて。少しからかってみただけだよ。だいたい、アイツに噛み殺せるはずないでしょ、牙ないのに」
『牙…………あります』などとは、中二病だと勘違いしている小柳くんには言いたくない。できるならそのまま勘違いしていてほしい。なので、純を中二病扱いされるのは少々尺だが、私も小柳くんの案に乗っかることにした。
「そ、そうなんだ、知らなかった。教えてくれてありがとう」
「でも、宮崎さんも引き続き純に協力してあげてね、じゃないと純の欠点なくなっちゃうから。美樹が純に惚れたら大変だし、もしそうなったときに純の欠点、説明できなくなるから」
「う……うん」
こそこそと喋っていると、我慢を切らした純が「だから、いつまで喋ってんだよ。遥に手出したら、てめえ噛み殺すからな」と、まんざらでもなさそうな、殺気立ったオーラを出している。
「宮崎さん、俺、今分かった。卵入りの血を食べ続けるなんて、純、相当頭イかれてるわ。つーか、普通に怖い。普通、中二病こじらせててもたべないでしょ。本当にアイツでいいの??」
またしてもこそっと尋ねられ、大きく頷く。
「うん、純じゃなきゃダメなの」
「そっか、ご愁傷さま……いてててて!?」
「てめえの宿題とやらでムードぶち壊されたんだよなー? 人の彼女にベッタリくっついて仲良くお喋りだなんて良いご身分だな。いい加減、宿題やれや」
純から頬をぎゅうっとつねられ、うろたえる小柳くん。
「え、付き合うことになったの!? あいたたた」
純は十万人に一人の割合で生息していると言われるヴァンパイアだけど、それは私だけが知っていれば良い。
――私はこれからも、三日後に死なないように血を与え続け、大好きな彼と一緒にこれからの人生を生きていきたい。
END



