三日後に死ぬ彼に血をあげたら溺愛が止まりません



「俺、自分の理想を遥に押し付けてた。遥の血の味は俺が生きる希望であってほしいって思うのに、それ以上に不味かったら嫌だなって。遥の血の味を知るのがずっと怖かった。だから、他の人間の生き血でずっと我慢してた。幻滅したくなかったんだ」


 大事なことをいっぺんに言われて、頭が追いつかない。


「純、私のこと嫌いなんじゃなかったの? 私の血は吸わないって、噛み殺すって……」

 ひとつ、どうしても確かめたかったことを聞いてみた。


「嫌いだなんて一言も言ってないだろ。『遥の血だけは吸わない』って言ったのも、『不味かったら噛み殺すかもしれない』って言ったのも、勝手に理想を押し付けてただけ。ごめん」


 純は眉を下げ、私の唇をそっと撫でる。


「……血、出てる」

「え、あ、うん……でも大したことないから」

「舐めていい?」

「へ……んんっ!?」


 私の唇から出ていた血を純はペロッと舐めた。


 恥ずかしくて体に力が入る。


「はあ、すご……この味、卵焼きのときより体にくる。ヤバイ」


 ハアと、苦しそうな吐息が交じる。純は余裕がない表情で私を抱きしめた。そんな風に抱きつかれると、私のことが好きなんじゃないかって勘違いしてしまう。


 純が求めているのは私じゃない、私の血だ。


 そう思えば思うほど、純への『好き』が一気に溢れ出して、「う、ぐ……ふっ、ううっ」声にならない声と一緒に一筋の涙が私の目から流れた。


 肩を震わせて泣く私を見て、

「遥!? ごめん、その……嫌だったよな。ほんとごめん」


 純は肩を擦りながら何度も「ごめん」と謝った。