三日後に死ぬ彼に血をあげたら溺愛が止まりません



 『まだ』ってことは、いずれは入れる気満々の小柳くん。少し早川さんの将来が心配になりつつも、「おまえいい加減離せ」と、小柳くんの肩をメリメリと掴む純によって無事に解放された。


「小柳、遥と話したいから廊下出てて」


 小柳くんに廊下に出るように促す純。追い出された小柳くんは見張り役を強いられるハメになった。


 今、この教室に純と二人きりだ。


 「一応、鍵閉めとくか」と、後ろと前のドアに鍵まで閉めてしまった純は、何の話があるのだろう。


 窓の隅にいる私の元へゆっくり近づいてきた。


「さてと、で、小柳に何された? キスでもされた?」


 私のことは嫌いなはずなのに、何故だろう、純がものすごく怒っているように見える。


「キスはされてない……」

「じゃあ何された?」

「……指で血に触れて、舐められただけ」

「…………血、舐められたんだ?」


 「俺も舐めたことないのに」と重低音が響く声を出す純。小柳くんの『噛み殺されるかもしれないよ』が脳裏によぎる。


 純になら噛み殺されてもいいと思っていた。そのくらいの覚悟はできていたはずなのに、いざ、そうなるかもしれない状況に陥ったら恐怖で腰が抜けてしまった。


「でも、小柳くん、マズイって言った」


 助かりたいから、命乞いでこういうことを言っているわけではない。一緒に生きたいから、純には正気を保っていてほしかった。


 私の前に屈んだ純は私の頬に手を添えた。


 そして、

「ごめん」

 と、一言、とても覇気がない声で謝ってきた。



「俺、分かってたよ、卵焼きに血入れてくれてるって」

「へ……」

「指日に日に切り傷増えてたし、なんつーか、今までに食べたことない血の濃さがしたから。俺のために毎日指切らせてごめん」


 申し訳無さそうに謝る純。全て見透かされていた。