……えっ!? 噛み…殺す……!?
何を言われたか理解できない。小柳くんは私の唇から出ている血を指で救い、その指をペロッと舐めた。
「……んんー」
『悪い、全然美味くなかった』と、歯を見せて笑われたけど、私は全然笑えない。
小柳くんは何か知っている、そんな気がする。
そんな中、時計の針は一刻一刻と進んでいる。もう皆も登校してくる。
小柳くんの胸を軽く押した、その時、ガラガラッと鈍い音を立てて教室のドアが開いた。
「…………小柳と、遙?」
不安気な声を、私達に発したのは純だった。焦った様子で私達の元へ近づいてくる。けれど小柳くんは私の前から動く様子はない。
「こ、小柳くん離れてよ、純が来てる」
「だからだよ、こんな血見せたら、アンタ噛み殺されるって言ってんじゃん。アンタのためだよ」
小柳くんは離れるどころか、私をぎゅうっと抱きしめた。顔が胸に埋まる。離してほしくて、何度か胸を叩いてみるけれど、ビクともしない。
さっきから、噛み殺されるってなに!? 何でこの人勝手に純がヴァンパイアだって決めつけてるの?
「おい、何でそんなくっついてんの」
純の苛立った声が耳に響いた。そんな純に、
「……なんか急に宮崎さんが甘えてきたよねー」
抱き合っている原因を私のせいにした小柳くん。ハアと呆れたような、盛大なため息が聞こえてきた。
――もう、いい加減にして!
このままじゃ純に誤解されちゃう!!



